2020年12月31日

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2015年12月20日

自分流トリテのつくりかた(仮)

※ この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2015 という企画の12月20日分の記事です。


はじめましての皆さまにおきましては、はじめまして。知り合いの方々につきましては、ごきげんよう。十式ゲームワークスです。
今回、企画に参加させていただくにあたり、真面目にいくかネタに走るかいろいろと悩んだのですが、今年はトリックテイキングがキた年だったしなぁ... 自分がつくったのもトリテだったしなぁ... というわけで、日頃トリックテイキングを考えるときに思っている事について書いてみることにしました。

気楽に「なにいってんだこいつ」とか思っていただければと思います。



1 トリテの定義



さて。これまで多くの方が語ってきており今さらな事柄かもしれませんが、まず手始めに「トリックテイキングとは何か」という話から入りたいと思います。



トリックテイキングとは
『トリックというミニゲームのシステムを持つゲーム』である。




自分はこれがトリテの定義だと考えています。

ここで「ミニゲームのシステム」という部分に注目してください。ミニゲームをゲームとして成立させるためにはその仕組みが存在しています。これをこの論考ではメカニクスと呼ぶことにしましょう。

ミニゲームのシステムは、いくつかのメカニクスの組合せによって構成されています。(なお、ここで使うメカニスクという言葉は“機構的な要素”の他にも“決め事的な意味”も含んで使っているので正しい用法ではありません。あしからずご了承ください)

いちばん基本的なメカニスクとしては「勝ち負けの決定方法」でしょう。一般的な例としては「リードプレイヤーが出したカードのスートの大きい数値を出したプレイヤーが勝つ」というものです。

これも基本的なメカニスクとして考えられるものに「カードを出すための決まり事」があります。つまり、マストフォローやメイフォローというものです。

さらにもう少しサブ的な要素として考えているカードゲームならではの(?)メカニクスとして、
 ・カードを手札から1枚ずつ出すこと
 ・リードプレイヤーから順番に出すこと
 ・切札の存在
 ・カード構成(デッキ)の考え方
なども存在しています。

これらのメカニクス群で構成されたシステムがトリテの基本構造となっています。

ここで注意したいのは、メカニクスはトリテの定義ではない、という点です。あくまでもシステム内における(代替可能な)要素であり、これらメカニスクの組合せによってシステムが産み出されてはじめてトリテのシステムとなると考えています。

例示的に言い換えると、フォローのメカニクスはトリテの重要かつ特徴的な要素かもしれませんが、それをもってトリテとはいわない、ということです。



2 狭義のトリテ・広義のトリテ



この狭義/広義の分け方についてもこれまで多くの方が述べており、一定の定義付けもできているのですが、そして自分もそのとおりだと思っているのですが、ここでは目的と手段という観点からあらためて考えてみます。

自分は、前章で定義付けたトリテのシステムの運用がゲームの目的や勝利条件に直結しているゲーム「狭義のトリテ」と捉えています。伝統的に遊ばれてきたトリテは大体、この狭義のトリテに当てはまるのではないでしょうか。

これに対して、このシステムを、より大きなゲームシステムの中に組込んでつくられたゲームも多く発表されてきています。システムがゲームの“目的”ではなく“手段”として扱われているこれらのゲームを「広義のトリテ」と捉えています。

トリテとはなにかということを語る際に、人はこの「狭義」と「広義」の振り幅のどこかにその人なりのトリテ観を置いており、それゆえにさまざまな意見が出るのではないでしょうか。

なお、自分はどうかといいますと「広義のトリテが好き派」になると思います。
トリテのどこが好きなのかと考えた場合、どのカードを出しどれを残すかのプランニングとその正否の動向や展開に応じた微調整という思考ルーチンを組み立てていく事に非常に魅力を感じています。
なので別にトリテのシステムが目的でなくても十分に面白く、要するに「変態トリテも大好物です!」ということですね。



3 マスとフォローとメイフォローの意味の違い



ここで少々脱線しますが、“フォロー”について考えてみます。

マストフォロー(あるいはマストノットフォローも含めて)はリードプレイヤーのカードに支配されるトリテ特有のメカニクスだと思います。だからこそ、トリテといえばマストフォローが象徴しているというような見方もあるのではないでしょうか。

ですが、例えばウノのように、先手番のプレイヤーの出したカードに左右される、つまりマストフォロー的なメカニクススを持った(トリテではないと言われている)ゲームは他にもあり、それゆえにマストフォローはトリテにおいて特徴的ではあっても、トリテそのものではないと考えています。

一方、マストフォローと対比させるメカニクスにメイフォローがあります。このフォローの仕組みですが、カードを出すか否か、つまりその勝負に参加するか降りるかの決定について、自己選択できるメカニスクです。

実はこの仕組みは“競り”と同じものです。というよりもメイフォローとは競りの一形態であると自分は捉えています。メイフォロー競りの特長は、勝敗決定の仕組みが前述のトリテのシステムによく用いられるリードカードのスートが強いというメカニクスに基づいている点で、これをもってメイフォローはトリテ的であるといえるのです。

ということは、競りのゲームをメイフォロー型のトリテにリビルドすることもできるのでは? このような視点からも新しい変態トリテを考えることができるでしょう。



4 トリックを取るという事の意味



自分がトリテのどんな部分に魅力を感じているのかについては、先に述べたとおりですが、そのシステム自体からみた場合、もうひとつ別の魅力を感じています。
それはトリックを取るということ自体の持つ効果のユニークさです。

トリックを取る、取り合うという事はつまり、カードの不均等な再分配の仕組みであると捉えています。ひらたくいえば、ランダムに配られたカードが、プレイヤーの意思によってスート単位で偏って新たな集まりをつくっていくという事です。

このカードの再分配は、非常に効果的に“プレイヤーの意図や意思に基づいた偏在”を生み出します。

この偏在効果を活用して、集まったカードをセットコレクション的ゲームに用いる事もできますし、いったん再分配されたカードをさらに再利用することもできるでしょう。
実際この仕組みを強く意識したのはトランプ・トリック・ゲームを遊んだときで、その効果が次のラウンドに結びつく仕組みに驚いたものです。

実のところ、この再分配の効果はドラフトのメカニクスでも実現ができます。ただ、プレイヤーの人数単位の枚数がいちどきに移動するトリテの仕組みにおいて、より強く偏在効果が機能するのです。

この効果こそがトリテのもっともユニークな要素であり自分がメカニクスとして面白い、と思っている部分です。


以上が、トリテというシステムの概要について考えている事です。
総体としてトリテはかなり独特なシステムだと思っています。しかも、他のシステムの中に組み込んでなお、トリテと言わしめるだけの強度・個性があると考えています。そのため、このようなカードの動きを持つゲームを遊んだときに「これはトリテだ」とはっきり感じてしまうのだと思います。

例えば、先に書いたドラフトやデッキ構築、ワーカープレイスメントのような、ゲームを構成する上でのシステム用語がありますが、トリテもまたひとつのシステム用語であるといえるのではないでしょうか。

自分にとって、トリテとはジャンルではなくシステムである、と言い換えてもいいのかもしれません。



5 つくるという視点で



と、実はここまでが前置きでした。ここまお読みいただいて、なんとなくこれは以下の話を成立させるための理屈っぽい詭弁的仮説なのでは? ということにそろそろお気づきかと思います。

が、先に進めます。

ようやくトリテ創作の発想法の話に入ります。

延々と書きつらねた自分のトリテ観からすでにお察しとは思いますが、自分はトリテに対してかなり許容範囲が広いです。ですから、かなり無茶振りなシステム設計となっていてもよし。と思っています。

それもこれも、これまで述べてきた各メカニクスが有機的かつ複合的に組み合わさって生み出されるトリテのグルーブ感は、ちょっとやそっとでは崩れないからこそで、おそらくいくつかのメカニスクをいじってもトリテはトリテになってしまうと思うのです。

ということは、新しいトリテを考えるということは、システムやメカニクスにいろいろと足したり引いたりすればいい、ということになるのは必然というもの。


例えば、足し算によるゲームを検討をするとどうなるでしょう。

基本の仕組みに他のシステムを足してみるのは、トリテ創作のためのよい思考実験になると思います。先に書いたようにトリテはカードの再分配のシステムです。というわけでカードを集めるセットコレクションとは非常に相性が良いのは先に書いたとおりです。

チキンレースのシステムと組み合わせるとどうでしょう。
トリックを取りすぎたら負けというゲームは伝統的トリテにもありますね。では、特定のスートを集めすぎたら負けなら? 特定の数字を集めたら負けなら? 獲得した数値が一定以上超えたら負け? こんな感じでしょうか。任意の境界線を設定することで面白そうなゲームができそうですね。

ゴーアウト系ではどうでしょう。
早く手札を使い切ったプレイヤーが勝利するゲームです。この場合、手札を出せない状況をどうシステムに組込んでいくかを考えるとことが肝であり楽しいところになりそうです。

このような感じで、エリアマジョリティでもワーカープレイスメントでもドラフトでも、森羅万象あらゆるゲームのシステムを組み合わせてみればいいのです。おそらくそれでもやはりトリテ感を失わない、それでいて新しいゲームになっているに違いありません。

ちなみに自分は数年前にトリテでデッキ構築のゲームを試作したことがあります。そのときはゲームとして破綻していて、その場限りでお蔵入りさせてしまいましたが、今ならもう少し上手くまとめることができそうな気がしています。いつか再トライしたいと思っているところです。


一方、引き算によるゲーム検討法もあります。

サブ的メカニクスについてはシステムの中でかなり入替えが自由で、色々なことが試せるのではないかと考えています。

「プレイヤーが順番に出す」という部分を変えるとどうなるでしょう? 同時出し、ランダム出し、いろいろな方法があると思います。
例えば、手番プレイヤー指名制にすると? カードカウンティングのメカニクスと組合せで自分が勝利するための順番を推測するゲームになりそうです。

「ミニゲームは1枚の手札で勝敗を決める」という構成を変えてみましょう。
例えば、1トリック1周ではなく2周、つまり2枚のカードで勝負するトリテはどうでしょう? 1周目の状況で勝負から降りたり乗ったりと、より競りゲームライクなトリテになりそうです。


自分はこのメカニクスをどこまでくずしていけるのか? どこまで変えればトリテがトリテでなくなるのかについて、かなり興味があります。より変態であれ。という嗜好性、指向性がモチベーションになっているのかもしれません。
もっともどれだけやってもトリテはやはりトリテになってしまうような気もしています。


もちろん、これらをゲーム足らしめるためには、ゲームとして成立している必要があります。なにより遊んで面白いと感じられなければ本末転倒であることは言うまでもありません。思いつきをゲームにするには発想だけではなく開発が重要ということなのですが、今回は発想法についてなので、開発については別の機会にでも話したいと思います。


まとめです。

ともあれ。トリテは思っている以上にトリテなのです。ですから思いつくままに破天荒なアイデアを組込んでいけばいい。これからも、それってトリテ? といわれるような変態トリテをつくっていきたいと思います。

結局のところ、これが言いたかっただけなのでした。


ここまでお読みいただきありがとうございました。
posted by 十式ゲームワークス at 00:10| Comment(0) | 01 日記